コロナ禍の影響を脱しようとしているところへ、インボイス制度への対応、物資高騰や円高の影響…。
昨今ビジネスを取り囲む問題は山積みで、経営者の頭を悩ませています。
「何か、助けになってくれる制度はないかな」
そのような方に知っていただきたいものに、「小規模事業者持続化補助金」があります。
・小規模事業者持続化補助金とは?
・補助率や補助上限額は?
・対象となる経費は?
・必要書類は?
・どういった点を審査されるの?
今回はこれらの点について説明していきます。
※この記事は、2023年9月時点の情報です。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓・生産性向上に取り組むため、経営を見直したり、経営計画を立てたりすることへの支援制度です。
現在の課題を見定め、それをどう解決しようか熟考することに主眼を置いたもので、「持続化補助金」の名の通り、持続的な経営に向けての活動を手助けしてくれる制度です。
特に、近年の課題として挙げられる
・賃金引上げ
・後継者問題
・インボイス制度への対応
・創業
などにも対応しています。
補助対象(採択)となった場合、対象事業を実施、実績報告書を提出したあとに請求・入金へと進みます。
補助率や補助上限額は?
小規模事業者持続化補助金には、大まかに通常枠と特別枠とがあります。
また、特別枠の中でも4つに分類されていて、枠ごとに補助率が異なります。
通常枠
通常枠の補助率は2/3で、補助上限は50万円です。
特別枠・賃金引上げ枠
賃金引上げ枠の補助率は2/3で、補助上限は200万円です。
※赤字の事業者の場合、補助率3/4。
※販路開拓の取組+地域最低賃金より30円以上を達成する事業者が対象。
ただし、すでに地域最低賃金を30円以上上回っている場合、さらに30円以上とする。
※インボイス対応(適格請求書発行事業者に転換する場合)50万円上乗せ。
特別枠・卒業枠
卒業枠の補助率は2/3で、補助上限は200万円です。
※販路開拓の取組+小規模事業者従業員を超え、事業規模を拡大する事業者が対象。
※インボイス対応(適格請求書発行事業者に転換する場合)50万円上乗せ。
特別枠・後継者支援枠
後継者支援枠の補助率は2/3で、補助上限は200万円です。
※販路開拓の取組+アトツギ甲子園ファイナリストまたは準ファイナリストに選ばれた者。
※インボイス対応(適格請求書発行事業者に転換する場合)50万円上乗せ。
特別枠・創業枠
創業枠の補助率は2/3で、補助上限は200万円です。
※「特定創業支援等事業の支援」を受けて販路開拓+過去3年の間に開業した者。
※インボイス対応(適格請求書発行事業者に転換する場合)50万円上乗せ。
「小規模事業者持続化補助金<一般型> 交付規程│商工会議所地区小規模事業者持続化補助金事務局」
対象となる経費は?
小規模事業者持続化補助金の採択を受け、対象事業となった場合、以下のものを補助対象経費にできます。
・機械装置等費:補助対象事業を遂行するため必要な製造装置等の購入
・広報費:新たなサービスや商品を紹介する配布物や看板設置等
・ウェブサイト関連費:ウェブサイト・EC等の開発、構築、更新、運用等
※補助費用の1/4(最大50万円)を上限とし、ウェブサイト関連費のみの申請は不可。
・展示会等出展費:展示会や商談会への出展料金等
・旅費:販路開拓のための展示会会場への往復等を含む旅費
・新商品開発費:新しい商品の試作・開発等にかかる費用
・資料購入費:補助対象事業に必要な資料や図書の購入費等
・雑役務費:補助対象事業のため一時的に雇用したアルバイトなどにかかる費用
・借料:(所有移転を伴わない)機器や設備のリース・レンタル料金
・設備処分費:新たなサービスのためのスペース確保のための設備処分等
※経費の1/2を上限とし、設備処分費のみの申請は不可。
・委託外注費:自社で実施できない業務を第三者に委託(店舗改装など・契約が必須)
経費にまつわる注意点
補助対象事業で対象となる経費は上記の通りですが、以下のものは経費に計上できません。
・車やオートバイ、パソコン、文具など、汎用性が高く他の目的でも使えるもの
・オークションを利用した購入物品であるもの
また、支払い関連では以下の注意点があります。
・必要経費でも、クレジットカード払いなどで補助事業実施期限を過ぎて引き落とされた分は補助対象外
・税込み100万円を超える額のものは、2者以上の見積必須
・中古品購入の場合、金額にかかわらず2者以上の見積必須
※税抜き50万円未満のものであること
・小切手や商品券による支払い、相殺による支払いは補助対象外
・経費の支払いは銀行振込。10万円を超える支払いが現金支払いの場合、補助対象外
必要書類は?
小規模事業者持続化補助金の申請(応募)に必要な資料は、以下の通りです。
・《様式1》小規模事業者持続化補助金に係る申請書
・《様式2》経営計画書兼補助事業計画書
・《様式3》補助事業計画書
・《様式4》事業支援計画書
・《様式5》補助金交付申請書:電子申請の場合不要
・《様式6》宣誓・同意書
・電子媒体:(様式1~3、様式5、様式6(該当者のみ様式7~9)):電子申請の場合不要
・貸借対照表及び損益計算書(直近1年分)
・株主名簿:該当者のみ
【賃金引上げ枠】
・《様式7》賃金引上げ枠の申請に係る申請書
・直近1ヶ月間における、労働基準法に基づく賃金台帳(役員・専従者従業員を除く)
・直近1期の税務署受付印のある法人税申告書(別表一・別表四:赤字事業者のみ)
【卒業枠】
・《様式8》卒業枠の申請に係る誓約書
・労働基準法に基づく最新の労働者名簿(常時使用する従業員分)
【創業枠】
・認定市区町村、またはそれと連携した認定連携創業支援等事業者が実施した「特定創業支援等事業」による支援を受けたことの証明書
・現在事項全部証明書、ないしは履歴事項全部証明書(申請書提出日から3ヶ月以内)
・開業届(税務署受付印のあるもの)
【インボイス特例】
・《様式9》インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書
・(ある場合)適格請求書発行事業者の登録通知書/e-Taxで登録手続き中の登録申請データ
審査について
小規模事業者持続化補助金は、経営計画書作成から販路開拓・生産性向上をめざす事業者への補助金です。
申請書類を提出した全ての事業者が採択されるものではなく、評価の高い事業者の順に採択されます。
審査については、以下の点がチェックされます。
・経営状況の把握と、自社製品やサービスなどを理解できているか
・経営方針や目標は、市場(商圏)の特性をおさえているか
・具体的で実現の可能性の高い計画かどうか
・今後の目標達成のために有効な計画かどうか
・小規模事業者ならではの工夫のある計画かどうか
・ITを有効活用する計画かどうか
・正しい積算で、必要な金額の計上となっているか
詳細・必要書類(様式)の確認
ここまででご説明しました小規模事業者持続化補助金の詳細や、必要書類の確認は、以下のURLでできます。
【ガイドブック】
【公募要領】
【様式集】
今回の記事では省いた部分もありますので、詳細は各ページで確認してください。
まとめ
今回は、小規模事業者持続化補助金についての各ポイントをかいつまんでご紹介しました。
今後の経営を見据えた計画と、これからの事業をどう発展させていくのかを客観的に審査し、採択するのが小規模事業者持続化補助金です。
言い換えれば、将来性ある計画を補助金対象とするものですので、手間はかかってもチャレンジする意義はあります。
弊社は、「IT導入補助金」のデジタル化支援者です。
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