2024年11月29日、「令和6年度補正予算案」が閣議決定されました。
閣議決定された予算案を見ると、その後の補助金などの事業の粗方がわかります。
この記事は、
・予算案関連の公式書類を読んだことがない
・読んでみたいけれど難しそうだと思っている
・時間がなくて読んでいられない
そのような方に向けて、経済産業省関係の補正予算案をざっと解説します。
補助金などの事業は、現段階で明らかになっているものをピックアップします。
「令和6年度補正予算案の概要(2024年11月29日)」
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/hosei/index.html
日本経済・地方経済の成長
この項では、以下の大項目に関する記載があります。
▼中堅・中小企業などの賃上げ環境整備(価格転嫁、生産性向上、大規模成長投資、賃上げ税制活用等)
▼成長力に資する国内投資促進(半導体、DX、GX、スタートアップ、イノベーション(量子・宇宙など)等)
▼経済安全保障(銅・ガリウム等の戦略物資の安定供給確保等)
▼海外の需要取り込み(グローバルサウス連携、中小企業の輸出促進等)
▼地方創生2.0
「「経済産業政策の新機軸」の進捗状況と今後の方向性│経済産業省」
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/024_03_00.pdf
補正予算案の書類の中で具体的に明記されたものは、以下の通りです。
1.賃上げ環境の整備【5,114億円】
中小企業生産性革命推進事業【3,400億円】
物価高、最低賃金引き上げへの対応のために「稼ぐ力」を強化する。
・ものづくり補助金
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・事業承継・M&A補助金
2.新たな地方創生施策の展開【736億円】
2024年10月4日、石破茂総理は「地方こそ成長の主役」とし、「地方創生2.0」として再始動すると発言しました。
また、「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設するとも語っています。
「地方創生2.0に対する提言~地域経済再興論│日本総研」
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=108931
クリエイター事業者支援事業(事業化・海外展開推進)【95億円】
映画など、日本発コンテンツの競争力強化やロケ誘致をし、産業自体の競争力を強化したり、裾野を拡大したりし、クリエイターの所得向上を目指す。
3.「投資立国」及び「投資運用立国」の実現
先端半導体の国内生産拠点の確保【4,714億円】
先端半導体の国内生産拠点整備への支援を行い、事業者の投資判断を後押しすることで安定供給の確保を目指す。
中小水力発電に係る自治体主導型案件創出支援等事業【20億円】
中小水力発電の早期事業化などに向け、自治体主導での流量調査や地形測定、また事業性評価等を支援。
地熱資源等開発事業【50億円】
資源量調査を行う国内事業者に向け、地表調査や掘削調査へ助成。
次世代型地熱技術特定や実証、事業化に向けた調査への支援。
介護DXを利用した抜本的現場改善事業【19億円】
人材不足に貢献するため、介護現場のDX化への投資を促す。
介護現場効率化に寄与する効果の高い機器やシステムパッケージ化、改良などを支援する。
物価高の克服
足元の物価高に対するきめ細かい対応
燃料油価格激変緩和対策事業【1兆324億円】
地方経済や低所得者世帯への即効性のある対策のひとつとして、ガソリンをはじめとする燃料油の卸値価格を抑制する。
電気・ガス料金負担軽減支援事業【3,194億円】
物価高による厳しい影響を受ける生活者に向け、1月から3月電気・ガス代を支援。
※事業者向けとして、特別高圧またはLPガス利用への支援を継続(重点支援地方交付金)。
エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現
省エネルギー投資促進支援事業費補助金【300億円、国庫債務負担行為を含め350億円規模】
「省エネ補助金」として、省エネ性能の高い設備へと更新する費用を補助。
※複数年にわたる投資計画に対応する支援とし、中小企業の投資拡大を促す。
中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費【34億円】
中小企業が、省エネ専門家による「省エネ診断」を安価で受けられるように支援。
まとめ
ここで取り上げた補助金や事業はほんの一部ですが、私たちの仕事や暮らしに近いものをピックアップしています。
ただ「補助金はないか」と探すより、それらがどのような意味合いのものかを知ることはとても大事なことです。
国が何を目指し、どのような事柄を推進しようとしているのかを理解すれば、事業や補助金が継続か、終わってしまうのかも何となく見えてきます。
また、新しい補助金を探すときも、国の方針を見ておくと見つけやすくなるかもしれません。
2024年補正予算での補助金・助成などは、賃金引上げを目指すもの、エネルギー問題に対応するもの、人材不足に対応するものなどが多くありました。
今後もこの傾向は続くと考えられますので、予算案が発表されたときは目を通すようにするとよいでしょう。