「引用」の方法は?ブログなどで著作権を侵害しないための注意点

ブログなど記事を書くときに、書籍やWeb上の情報を利用したいと思うことはありませんか。
いくらその情報が読者のためになるといっても、一定のルールに従わない場合、「著作権の侵害」にあたることがあります。
他人の知的財産を侵害すると、訴えられることもあり得ます。

今回の記事は、次のようなときにおすすめです。
・画像や情報をブログ記事に使いたい
・情報引用ができるケースを知りたい
・引用する方法を知りたい

「こういう調査結果がある、私もそう思う」「こんな資料があって、考えさせられた」というとき、そのもととなった文章や画像を紹介したくなるものです。
その時のルールについてご紹介しますので、参考にしてください。

※この記事は2023年8月時点での情報です。
なお、著作権をわかりやすく解説するために細かいところは省いています。

※統計やアンケート結果については、引用を許可制にする組織もあります。個別に調査して利用してください。

著作権の侵害とは? 引用とは?

単に他人の著作物を流用・掲載することは、著作権の侵害にあたります。

一方、引用とは、「自分の考えや思いを表現するために、他の人の著作物の一部を示すこと」です。
あくまでも、自分の考えや思いを伝えることが前提で、それを裏打ちするために他の著作物を一部利用するものです。

著作権侵害の例:
・歌詞をそのままコピー&ペーストする
・小説をそのまま掲載する
・画像を丸のままブログに貼り付ける

このようなコピペ行為は、その著作物をそのまま「勝手にいただく」ことで、著作者の権利を侵すうえ、著作者への敬意を欠いてしまうものです。

正しい引用の方法は?

著作権を侵害することなく、「正しく引用」するには、次の条件を満たす必要があります。

・紹介したい著作物を引用することがもっとも自然であること
・引用部分と自分の著作物との区別がつくこと(かぎかっこなどを用いる)
・引用が主ではなく、自分の著作物が主であること
・出所が明示されていること
・そもそもの形式を損なわない(改変しない)こと

例えば、次のように表記するとわかりやすいでしょうか。

「著作権法では,一定の「例外的」な場合に著作権等を制限して,著作権者等に許諾を得ることなく利用できることを定めています(第30条〜第47条の8)。
 これは,著作物等を利用するときは,いかなる場合であっても,著作物等を利用しようとするたびごとに,著作権者等の許諾を受け,必要であれば使用料を支払わなければならないとすると,文化的所産である著作物等の公正で円滑な利用が妨げられ,かえって文化の発展に寄与することを目的とする著作権制度の趣旨に反することにもなりかねないためです」
著作物が自由に使える場合│文化庁

上では、かぎかっこで文章を囲い、文章のタイトルと出所、リンクとを記載し、著作権に関する決まり事を紹介しています。
文章に手を加えてもいません。
これらのことで、この文章が文化庁の「著作物が自由に使える場合」というページにあることを示すことができます。

このようにすれば、ブログ記事を作成する人(筆者)が文化庁のページにある文章の一部を引用しているとわかります。
この方法で一部の文章を利用するのが「引用」です。

Webページだけでなく、書籍からの引用の時も、文章を紹介したなら、書籍名・著作者名を記さなければ著作権を侵害することがあります。

自分の考えを表すために文章などを使うことが重要

上でも触れたとおり、自分の考えを証明したり、裏打ちするために文言を引用したりすることが大事です。

ただし、全文章のほとんどを引用にした場合、その文章の書き手はあなたではなく、引用した著作物の著作権者とみなされることがあります。
引用部分が多くなればなるほど引用ではなくなり、単なるコピペ(=著作権の侵害)へと変化します。
あくまで、主となる書き手があなた、従が引用でなければなりません。

著作権を侵害するとどんな問題が起きる?

他の人の著作物を乱用すると、著作権の侵害として訴えられることがあります。
そのとき、
・損害賠償金の請求
・刑事罰が科される
という可能性が見えてきます。

いずれも、他の人の著作物制作に関する労力や権利に敬意を示さないために起こることです。
あなたもブログなどの記事を書いているのなら、その努力や時間を他の人に丸のまま利用されるのはイヤですね。

損害賠償金の請求

損害賠償については、法により定めがあります。
これを後で変更することはできませんので、きちんとリスクを知っておくことが大事です。

「第百十四条
著作権者等が故意又は過失により自己の著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為によつて作成された物を譲渡し、又はその侵害の行為を組成する公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行つたときは、その譲渡した物の数量又はその公衆送信が公衆によつて受信されることにより作成された著作物若しくは実演等の複製物(以下この項において「受信複製物」という。)の数量(以下この項において「譲渡等数量」という。)に、著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物(受信複製物を含む。)の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、著作権者等の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、著作権者等が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡等数量の全部又は一部に相当する数量を著作権者等が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする」
著作権法│e-Gov法令検索

簡単にいうと、著作物の文章、画像の不正利用により著作者が受けた損害額を「使用料(ライセンス料金)」として支払わなければならない、ということです。
ケースによっては相当額の金銭的被害を著作者に与えることとなります。
うっかりミスで、このような失敗をしないよう気を付けてください。

刑事罰が科されるリスク

著作権を著しく侵害した場合は、刑事罰の対象となることがあります。
文章や画像を勝手に使われ、さらにはそれにより利益を上げている人がいるとき、著作者は当然の怒りとして訴え出るでしょう。

そのような訴えにより、
・最大で10年の懲役
・最大で1,000万円の罰金
の刑事罰が科されることがあります。
懲役刑だけでなく、罰金との両方を科されることもあります。

これは、個人だけでなく、企業(会社)も該当しますので、会社のサイトやブログ運営にあたるときも、しっかり意識して著作権を侵害しないようにしましょう。

著作権が切れることはある?

著作権は、その作品の著作者の死後70年が経過するまで守られています。
過去には、死後50年までとされていました。
ですが、2016年に日本が環太平洋パートナーシップ協定(通称TPP)を締結するにあたり、死後70年にまで延長され、概ねの世界の標準に合わせることとなりました。

その期間が過ぎて著作権が切れると、その作品は公有のもの(パブリックドメイン)へと移行し、誰でも自由に利用できるようになります。
2023年のトピックでいえば、「くまのプーさん(原作)」がパブリックドメインとなり、二次創作物としてホラー映画「プー あくまのくまさん」が公開されたのが記憶に新しいでしょう。

ただ、このプーさんの場合、原作者の没後70年が経過したというだけであって、ウォルト・ディズニー社の「プーさんとはちみつ」はまだ著作権で保護されています。
よって、愛らしい黄色のくまのデザインを利用できるわけではありませんので、注意が必要です。
また、絵本の挿絵作家がなくなったのは1976年ですので、まだ絵本の挿絵はパブリックドメインとはなっていません。

著作権とは別に、著作隣接権というものもあります。
著作隣接権とは、もとの著作者とは別に、演奏したり演技をしたり、放送に関する工夫をしたりする人に対しその権利を守るものです。
演奏にしろ、演技にしろそれぞれ努力が必要です。
放送局も、放送当日までにありとあらゆる努力をし、よい番組を提供しています。
そのような努力を守るのが、著作隣接権です。
おおもとの著作権が切れるより、著作隣接権が切れる時期は遅く来ますので、その点には注意が必要です。

まとめ

この記事では、著作権や著作物の引用について解説しました。

「この画像がすばらしい」「気に入った歌詞がある」といったとき、つい紹介したくなるものです。
ですが、正しく引用しなければ、損害賠償や刑事罰のリスクにさらされてしまいます。

これは、著作者の努力に敬意を払うために大事なことです。
だれでも、苦労の末に生み出したものを「いつでもタダで使ってください」とは言いません。
それなりの対価を必要とするでしょう。

ユーザー側も、特に好きな作者やアーティストの場合、活動を支えるためにきちんと書籍やCDを購入するのではないでしょうか。
それと同じ意味合いで設定されているのが著作権です。

ブログや記事作成にあたっては、著作権に最大の配慮をしなければなりません。
うっかりミスで著作権に抵触しないよう、注意してください。

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