最近、「お客様の買い物の仕方が変わった」と思ってはいませんか。
売れ筋のものが出なくなった、思いがけないものが売れるようになった…。
その背景にあるものを理解すれば、これからのビジネスを拡大できるかもしれません。
2024年のスタートを切るにあたり、様々なデータから「あなたのビジネスの未来」を覗いてみましょう。
「おひとりさま」をターゲットにしなければならない理由
少子高齢化とはよく見聞きすることばです。
それはどのように私たちの身の回りを変えるのでしょうか。
また、それ以外にも「おひとりさま(ソロ活)」を意識しなければならないポイントがいくつかあります。
「少子高齢化」「おひとりさま」をそれぞれ統計やアンケート結果などから見ていきましょう。
【環境】大分県の1世帯あたり人数は約2人
令和5年の統計では、大分県の1世帯当たりの人数(=平均値)は約2人です。
1世帯当たりの人数が少ない順で12位と、とても「少ない」といえます。
単身の若い人が多く流入する東京都や京都府、福岡県がランクインするのはよくわかります。
ただ、大分県の場合、少子高齢化の影響によってワースト寄りという傾向は残念なことです。
【1世帯当たり人数の低い順・上位15位(都道府県別)】
順位 | 都道府県名 | 1世帯あたり人数 |
1 | 北海道 | 1.832 |
2 | 東京都 | 1.857 |
3 | 高知県 | 1.956 |
4 | 鹿児島県 | 1.958 |
5 | 大阪府 | 1.968 |
6 | 京都府 | 2.007 |
7 | 宮崎県 | 2.008 |
8 | 山口県 | 2.011 |
9 | 愛媛県 | 2.021 |
10 | 福岡県 | 2.026 |
11 | 神奈川県 | 2.041 |
12 | 大分県 | 2.055 |
13 | 青森県 | 2.061 |
14 | 長崎県 | 2.063 |
15 | 広島県 | 2.075 |
※この表の引用・転用を禁じます。
「【総計】都道府県別人口、人口動態及び世帯数│e-Stat」
【傾向】「ソロ活(ひとり行動)」の広がり
大分県で単身世帯が多いことはわかりましたが、若年層を含む多くの人々のこころはどのようなものでしょうか。
あるアンケートによると、「ひとりでしたいこと」の幅が増えています。
これを見ると、「朝食」「仕事」「昼食」「夕食」「余暇」に至るまで、「どちらかといえばひとりでしたい」と回答する人が大幅に増えています。
言い換えれば、「一日中ひとりでいても構わない」と思っている率が高いということです。
では、完全にひとりでいいのかといえば、それはそれで違うようです。
「(既婚者の場合)遅く帰宅するときは必ず連絡する」「恋人や夫婦同士でペアルックを着たい」という人が増えていますが、一方で「自分の空間に人が入ってくるのが嫌」という人も増えています。
「集団や組織が好き」としながらも、「ひとりで没頭できる趣味がある」と答える人も多くいます。
数字でみる限りでは、「家族や周囲の人と適度な距離でつながりながら、自分の時間や趣味を最大限大事にしている」というイメージでしょう。
「「ひとり意識・行動調査1993/2023」30年変化の結果を発表│博報堂生活研究所」
【傾向】未婚率の上昇
近年多く報じられることの多い未婚率も、おひとりさま(ソロ活)を考えるうえで大きな視点です。
平成元年には男性19.1%、女性7.5%だった未婚率は、令和元年に男性35.0%、女性23.9%に上りました。
このままいくと、令和22年の未婚率は推計値で男性39.4%、女性24.9%にまで上る見込みです。
これはビジネスの在り方に大きな影響を及ぼすでしょう。
おひとりさま(ソロ活)に注目したビジネスモデルの例
社会環境の変化に対応し、「おひとりさま(ソロ活)」ニーズに応えているビジネスはいくつもあります。
その中から特筆すべき事例をご紹介します。
ひとり焼肉「焼肉ライク」
おひとりさまをターゲットに、店舗展開をしているのが「焼肉ライク」です。
1人1台のロースターを用意し、ひとりでも入りやすい環境を整えています。
また、セットメニューを充実させ、オーダーから提供までのスピード感をもたせていますので、ひとりで好きなものをさっと食べられる楽しみもあります。
「焼肉ライク」
きれいな姿を写真で残したい「ソロウェディング」
結婚はまだ先になりそう、でも写真だけは撮影しておきたい。
そのようなニーズに応えるのが「ソロウェディング」です。
フォトスタジオやホテル、ドレスショップなどが手掛けていて、レンタルドレス+ヘアメイク込みで5万円程度のプランが人気です。
このソロウェディングは、おひとりさまニーズだけでなく、「結婚式の日に着たいドレスを着られなかった、気に入ったドレスを着てみたい」「もっと違う写真も撮っておきたかった」などの広いニーズに応えています。
ひとり宿泊「温泉旅館」
少し前までは旅館は「2人以上」のプランが主でした。
ですが、最近ではひとりで利用できるプランを用意する温泉旅館が増えています。
人に気を遣わず、ひとりだからこそ満喫できる温泉や料理。
のんびりマイペースで過ごす時間を提供しようと、「おひとりさま用プラン」を提供する旅館が増えています。
ソロ活動初心者も「ソロキャンプ」
コロナ禍から注目されはじめたキャンプですが、その中でもひとりの時間を自由に過ごせる「ソロキャンプ」の人気が高まっています。
キャンプ初心者向けにテントを始めとした用品をレンタルするキャンプ場もあります。
ソロキャンプ専用のキャンプ場もありますし、女性一人でも安心な「車中泊」スペースを貸し出すキャンプ場もあります。
おひとりさまも安心「高齢者入居可・賃貸物件」
高齢化が止まらない日本において、高齢者の住まいの確保も避けて通れない課題です。
ただ、いわゆる孤独死などにより物件価値が下がってしまうことを危惧する大家さんが、高齢者に貸したがらないという現実もあるようです。
それらの課題に立ち向かうため、電気利用状況での見守りや独自開発の保険により「貸しやすい状況」を作ろうとしている不動産会社があります。
「R65不動産」
「高齢社会の不動産業│国土交通省(R65不動産代表山本遼・資料)」
おひとりさま・ソロ活のサポートが今後のビジネスには必須
上記で見てきたとおり、少子高齢化や、他の人との距離の置き方の変化により、「おひとりさま(ソロ活)」のニーズが高まっています。
今後この傾向は加速するはずですので、今からでもビジネスのあり方を検討しておくと対応しやすくなるでしょう。